※この記事はJLCPCB様の提供でお送りします。
JLCPCBのご紹介
JLCPCBは中国に本社を構えてPCBの製造を行っている会社です。
特徴は基板がとにかく安く,また,サポートが手厚いことにあります。
営業時間中はリアルタイムチャットサポートを利用でき,疑問点はサポーターと直接やり取りしながら作業を進めることができます。
早稲田大学ROBOSTEPの紹介
早稲田大学ROBOSTEPはNHK学生ロボコン優勝を目指すサークルで,ロボットの搭載する基板は自前で設計したPCBを主に使用しています。
基板の紹介
今回ご支援いただいた基板の一部です。
PCBAサービスを使用し,一部の部品をJLCPCB様で実装していただきました。
この基板は汎用マイコンボードとして設計したもので,様々な拡張基板と組み合わせて様々なセンサーやアクチュエータを駆動することができます。
PCBA用のデータ作成
弊サークルではKiCADを使用しており,各種プラグインで製造データを生成しています。
使用するプラグイン
プラグインのインストール方法は各公式サイトを参照してください。
回路図・基本データの作成
1枚単位のデータを作成します。
部品の紐づけ
JLCPCBで実装してもらう部品の型番を一つ一つ選んで紐づけします。
JLCPCBでは中国の部品販売者のLCSCと提携しており,LSCSの型番を指定して実装してもらうことになります。
JLCPCB Toolsを起動して部品を割り当てます。
試しに0.1uFのMLCCを指定します。
C4を左クリックで選択します
「Select alike parts」を押すと同じスペックの部品を複数選択できます。
「Assign LCSC number」を押すと部品検索ウィンドウに遷移します。
KeywordやPackageを使って部品を絞り込んでいきます。
JLCPCBのPCBAで使用できる部品はBasicとExtendedの2種類に分けられ,Extended partsを使用する場合は追加費用が必要です。
Basic partsのみを使用すると安上がりですので,Basicで条件絞り込みをします。
in Stockで絞り込むと検索時点で在庫がある部品のみを絞り込めます。
在庫切れ部品も割り当てできますが,発注時点で再度代替品の割り当てが必要になるため,基本的にin Stockで検索します。
また,Packageはミリでなくインチのパッケージで検索するとヒットします。
さらに,キャパシタは0.1uではなく100nで検索するとヒットします。
いろいろ検索ワードを変えて試してみてください。
なお,この画面で検索できる内容はJLCPCB Electronic Components(https://jlcpcb.com/parts/all-electronic-components)からも検索できます。
大抵の部品はあるので,どうやっても検索で出てこない部品はこちらのサイトからパラメトリック検索すると見つけられる場合があります。
適用したいパーツが見つかったら,左クリックで選択し,「Select part」で適用します。
正常に適用できると表の「LCSC」の欄にLCSC numberが挿入されます。
この作業を実装をPCBAで実装する全てのパーツに適用します。
手はんだするものは入れなくても大丈夫です。
面付け
部品の適用が済んだら面付け(panelize)を行います。
JLCPCBは二層基板では100x100mm以下の大きさまで同一価格で製造できるため,複数の基板を1枚にまとめて発注することで費用を抑えられます。
面付けにはKiKitを使用します。
PCB Editorで新しいPCBファイルを作ります。
KiKitを起動して面付けします。
JLCPCBのPCBAで面付けする場合,基板分割にはmousebitesのみが使用でき,V-Cutは使用できません。
inputに前の章で作った1枚単位のpcbデータを指定,左右の面付け数と間隔を指定し,Tabはfixed,Cutsにmousebitesを指定します。
mousebitesの穴はTab内に全て納めるほうが好みなので,穴位置をオフセットしてあります。
設定できたらPanelizeを押して面付けデータを生成し,closeでKiKitを閉じます。忘れずに保存しましょう。
KiKitを使用すると配線ネットの割り付けも自動で行ってくれるため,手動面付けでのミスが減って便利です。
製造データの出力
面付けされているPCBデータを開いた状態で再度JLCPCB Toolsを開き,LCSC欄に正しい部品が指定されていることを再度確認します。
異常がなければ,左上の「Generate」を押して製造データを出力します。
JLCPCB Toolsを実行すると,
面付けしたデータがあるディレクトリ\jlcpcb\production_filesの中に3つのデータが生成されます。
- プロジェクト名.zip(ガーバーデータ)
- BOM-プロジェクト名.csv(部品表)
- CPL-プロジェクト名.csv(部品の座標データ)
PCBAの注文方法
いよいよ発注作業に入ります。
まずはいつも通りJLCPCBにガーバーデータのzipファイルをアップロードします。
ここで使用するのは前の章で生成されたプロジェクト名.zipです。
PCB側の設定はいつも通りに済ませます。
PCBAを依頼するので,PCBAオプションを有効にします。
ここでは両面か片面のみか,部品を実装する基板の枚数等を設定します。
ここでは裏面のみ,5枚すべての基板に部品を実装する設定にしています。
なお,工場で使用したステンシルは同梱されないので,ステンシルが必要な場合はステンシルオプションを有効にします。
すべての設定が終わったらNEXTを押してBOMとCPLのアップロードに移ります。
数回NEXTを押して,この画面で前の章で生成したBOM-プロジェクト名.csvとCPL-プロジェクト名.csvをアップロードします。
processを押すとデータの照合が始まります。
照合が終わると,BOMで指定されたLCSCパーツが表示されます。
この場合は5行目の0.1uが事前に指定したLCSC numberで認識されています。
LCSC numberを未指定のままデータ照合にかけると,システム側でそれっぽい部品を自動で割り当ててくれます。
しかし,必ずしも自分が求めている部品が適用されるとは限らないため,すべての部品を手動で確認する必要があります。
またこの画面で,実装するパーツとしないパーツを分別します。PCBAで実装しない部品(自分で実装する部品)は,右のチェックボックスを外します。
パーツの確認・適用・選択が終わったらNEXTを押して次に進みます。
次の画面では基板上の部品の向きを整えます。
最初に自動配置される部品は9割が明後日の方向を向いているので,すべての部品をチェックして回転・修正します。
1番ピンはピンクの●で示されます。
特にIC,極性付きコンデンサ,ダイオードなどは注意が必要です。
この場合はU4,U5の向きが間違っているので修正します。
すべての部品の向きを整えたらNEXTを数回押し,カートに保存します。
カートに入れば,通常通り支払いをし,あとは基板の到着を待つだけです。
なおPCBAでは,基板単体で選択できる最安配送(shipping 4~6 days)は利用できないため,基板だけ頼むより早く届くこともあります。
到着した基板
こちらがPCBAで製造していただいた基板です。
不良もなく,はんだの質も良好でした。
今回は裏面に集積した抵抗とコンデンサを中心に実装していただきました。
この量の手はんだが不要になるのは,負担が大きく軽減されるので非常にありがたいです。
まとめ
今回はJLCPCB様にPCBとPCBAのご支援をいただきました。
PCBAはロボットに欠かせない基板製作の時間と費用を工夫次第で大幅に節約できる良い手段の1つです。
皆様もぜひご検討ください。
発注は下のリンクから!
英語発注システム https://jlcpcb.com/JPV/
日本語発注システム https://jlcpcb.com/jp/
※この記事はJLCPCB様の提供でお送りしました。